2016年の4月から11月にかけて、東日本地域の4都市(宮城県仙台市、長野県長野市、茅野市、東京都多摩市)が"宮沢賢治"をテーマとした市民創作プログラム、および「風の又三郎」の舞台作品の創作・上演に、世界で活躍する舞台演出家小池博史らとともに臨む。

2016年7月11日月曜日

小池博史さんインタビュー 前半/創作プログラム『KENJI』@仙台



201679日(土)@日立システムズホール仙台(青年文化センター)練習室4

-「KENJI」仙台版ということで、仙台の出演者とKENJIを創ってみてどうでしょうか?

小池:どこも全然条件が違うので、そもそも同じにならないんですよね。年齢の問題もあるし難しい面も多々あります。最初の長野の場合だと出演者の募集条件が35歳までだったんですよ。だから全員それより若くて、男女比が半々で全部で12人。それが多摩だと19人のうち17人が女性で男性が2人。そういう中で、やったことない人もプロも渾然一体としてる状態だったんですね。 

仙台はほぼ3分の2が40代以上と、年齢層が高い。だからいろんな意味で全然やり方は違うんですね。同時に、予算やらいろんな条件が違ってくると、やりにくいところもあれば、工夫が必要になってくるところもある。多摩なんて6日目には公演ですからね。平日はそんなに長いこと稽古できないし、稽古のあとのダメ出しは、劇場を出て外でやるというようなことをしていた。一方、長野の場合は条件がよかった。同じ作品だと言ってもなかなか違うんですね。

-出演者の個性も違いますよね。

小池:そうですね。それはもうまるっきり違う。それがおもしろいって言えばおもしろいですけどね。年齢層が高いと、いい意味では深みが出てきてすごくいい。若いとなかなかそんなわけにいかないんで。でも全体に、マイナスだと思っちゃうと何もできなくなるので、どうおもしろさに変えていくかですね。

-出演者の個性をおもしろく引き出すということ?

小池:それはこういうのだととても重要だと思うんですね。やっぱり1人1人がおもしろいと思わないとしょうがない。いつも思うんですが、素人だとしても、素人にはプロには絶対いないタイプっているわけですよ。例えば姫さん(出演者の1人、姫野さん)なんて、プロには絶対いないタイプ。その絶対いない感じをどうおもしろく見れるか。やっぱりいろんな意味での違った素材なんですよね、僕にとっては。

-市民と一緒に創作舞台をつくるというのは、レベルもバラバラだし一見面倒くさいと思うのですが、やり続ける理由はどんなものですか?

小池:プロにはないおもしろさってあるんですよね。何をやっているか、やってる側に問われるわけですよね。いかに演出力があるかっていうことが問われてくる。クオリティーで言えば、プロでやれば確かに高いんだけども、高くないおもしろさっていうのもあるでしょ? どんな素材をどんなふうに調理していくか。料理と一緒で、はいこういう材料があります、この材料で何ができますか、って僕が言われてるようなもので。材料がよくないんでダメですって言ってしまうわけにはいかないでしょう?

-小池さん自身もすごく楽しまれてるということ?

小池:きついですけど。きついというのは、時間がやっぱりどうしても
短いんで。通常だとひと月ふた月ってかけますけど、そこまでかけられないでしょ。かけられない中でクオリティー的にある程度のところまで持っていかなきゃならない。今回みたいにちゃんと照明も付いてきちんとした公演になるとなると、そりゃあきついことはきついですよね。

-特に1人1人の電車のエピソードのところとか、同じシーンでも毎日いろんな演出が加わりますが、あの表現のバリエーションは、どこから湧いてくるんですか?

小池:それは分かんないんだよな。自分のことで言えばもう分かんないとしか言いようがなくて。なんでですかって言われても、出てくるんだよねとしか言いようがない。



-それは昔からなんですか?

小池:結構昔からですね。あんまりだから、作品を作るとかでほとんど悩んだことがない。



(後半に続きます)


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