2016年の4月から11月にかけて、東日本地域の4都市(宮城県仙台市、長野県長野市、茅野市、東京都多摩市)が"宮沢賢治"をテーマとした市民創作プログラム、および「風の又三郎」の舞台作品の創作・上演に、世界で活躍する舞台演出家小池博史らとともに臨む。

2016年7月11日月曜日

小池博史さんインタビュー 後半/創作プログラム『KENJI』@仙台


201679日(土)@日立システムズホール仙台(青年文化センター)練習室4


-子供のころから表現のようなものに触れてきたんですか?

小池:うーん。たぶん人とは違ってたんだと思うんですよね。親にあきれられて、お前みたいなのはもう好きなようにやるしかないんだっていうことを、延々と言われてきてるから。たぶん人とはものの見方が違ったんだと思うんですよね。ただそれはなんですかって言われても分かんない。

ただ、高校生のときには建築家になろうと思ってて。でも大学受験で東京に出たときに、ある映画を見ちゃって、で、「ああ俺、映画監督なろう」ってその場で思い込んじゃってね。だからそういう、最初からいわゆる演劇とか踊りって全然興味なかったんです。それどころか演劇とか全然大っ嫌いで。よくこんなのやるやついるよなって思っていたというのが正直なところ。でも格闘技とかいろいろやってたので、そういう、動きといわゆる空間性と、そういった時間芸術的なことが全部一緒になっていったというのがそもそもなんですよね。それでなおかつ、自分が見たことがないものが見たいっていうのがずっと続いている。それで何十年もやってきていますけど、飽きないですよ、全然。やれることは限りなくあるなと思ってる。 

今回のKENJIも一緒ですよね。僕にとっては、出演者がどうだからって言いたくないわけ。出演者がどうであったとしても、みんなそれなりに魅力って持ってるんですね。自分ではコンプレックスだと思ってるところがあるかもしれないけど、それが魅力だったりもする。自分で、私はすてきだなって思いますか?

-いやもう、ダメです。

小池:だから、そう思った途端に何も出てこないんだよね。自分で自分を発見してあげる。私はかっこいいよねって思い込んでいくことがすごく重要。僕は本当にそう思うんです。日本にいると同調圧力がすごくて、人と同じじゃなきゃいけないみたいなのが強いんで大変だと思うけど、でも人と違ってておもしろいんであってね。ダメだって思わないことがたぶん一番肝心で、そうすると自信が生まれてくるから。だから成功するって大切なことなんだよね。小さいことでもいいの。一応ちゃんとここまでやれたとか、そういう記憶がやっぱり人を作っちゃう。みんなそれなりに輝きがあるんでね。だからそこの部分なんでね。もちろんそうじゃない部分だっていっぱいある。あるんだけども、そこの部分がいいよって思い込めば、そこを起点にできるじゃん。
 

でも結局、スロー(舞台後半で出てくるスロームーブメントのシーン)なんかもそうなんだけど、記憶と語るっていうことをよく言ってるけど、記憶と語っていくっていうのは、なんでそういうことを思い込んできたのかとかっていうことも含めて語っていけると、いろんな発見がある。そういうもんです(笑)。だから、人間っていうのは、自分を作っていくのは自分だから。

-小池さんにとってのKENJIはどんなものですか?

小池:稽古最初にも言いましたが、今の現代人がもっともまずいのはなにかというと、いわゆる人間の視点しか持たなくなったと。人間を中心にしてしか考えられなくなってくる。とすれば結局いろんな問題が起きても、その見方は非常に画一的になってくると。画一的になればなるほど、実は自分らで自分らの首を絞めて生きにくい世界にしてしまってる。

例えば僕が昔やってたパパ・タラフマラというグループは、タラフマラってメキシコの部族名なんですよ。で、そのタラフマラっていう部族も同じで、結局視点の取り方が、どうも今現在というのはもちろんあるにしても、今現在だけではなく古代と現在と未来を等価に見ていくみたいな、そういう視点っていうのはすごく重要だし。当然のようにメキシコだのアメリカン・ネイティブだの、基本的なネイティブの思考っていうのは、自然の中にあくまでも人間が含まれていて。その中でどういうふうな生をつくっていくかっていうことが問われてきたんだけど、そうじゃなくなってきたことによって、今もう世界はぼろぼろになってるでしょ。果たして生きられるのかというところまで来ちゃった。非常に危険ですよ。
 世界的に見れば宮沢賢治に限んないですけど、でも日本の中ではやっぱり賢治っていうのは、そういう意味ではとても視点が分かりやすい人でしょうね。
動物の視点だったり自然の視点だったり、あの世、死者の視点だったり、そういうものを等価に持っていくっていう意味で言ってるんですけどね。

以上、サポートスタッフ芦名と大河原が伺いました!

★番外編★
-約2週間、仙台に滞在されてのワークショップですが、仙台の印象はどうですか?

小池:仙台いいですよね。なんかこう、しっとりとしていて、どっか文化的なにおいもあるし。歴史もあるし。都市の規模だと福岡あたりと同じだけど、全然雰囲気違うもんね。

-舞台の仕事以外のときって何されてるんですか?

小池:嫌になっちゃうぐらいやることはあるんです。ほとんどオフがない。オフがあればいいんだけど。ないんだよなー。マッサージ行きたいなーとか、そういうのはありますね。

差し入れのパンでエネルギー補給!

※このインタビュー後、出演者のお1人が小池さんにマッサージをされていました!良かったです!!






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